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物流センターにおけるレイバーコントロール

ある物流センター。パート・アルバイト40名が常時出勤。「作業スタッフの数は足りているはずなのに、残業がなくならず、人件費がコストを圧迫している」との悩みがあった。また、地域性もあり、簡単にパート・アルバイトを解雇することもできず、その日の物量と関係なく一定の作業人員を投入していたため、閑散期には人が余ってしまっていた。そこで、物量の波動に合わせて現場に投入するパート・アルバイトの人数を柔軟に調整する「レイバーコントロール」の仕組みを導入することにした。これにより、これまで固定費だった作業人件費を変動費化することが期待できる。

 

《レイバーコントロール導入の6つのステップ》

(1)生産性目標の設定センター作業を「入荷」「格納」「ピッキング」「検品」「梱包」「出荷」に分類し、各作業ごとに生産性を図る基準を決める。「入荷」「格納」作業は「ケース」、「ピッキング」は「伝票行数」、「検品」は「件数」、「梱包」「出荷」は「ケース」といった具合である。
(2)次に、作業の速さ、すなわち1処理あたりにかかる時間をとらえる。これは、作業にかかる総時間を総処理量で割って求める平均値である。パート・アルバイト各人の作業条件や能力差を平均化し、また、「手待ち」「迷う時間」「やり直した時間」など、今の現場の実際の作業で発生しているムダもすべて含んだ数字で、実際に、どれだけの速さで作業できているかという実態をとらえる数字であると言える。たとえば、「検品」作業において、処理量500件に対して3時間30分(=210分)かかっているとしたら、1処理あたりの作業時間は
210分(12,600秒)÷500件=25.2秒/件
ということになる。
(3)次に、作業ごとにムダな動作(標準動作以外の動作)を除外した正味時間を計測し、これを処理量で割って1処理あたりに直す。「検品」作業において、ムダな動作(なぜムダな動作が発生するのかも記録しておく)を除外して計測したところ、処理量500件に対して2時間20分(=140分)で終えることができた。つまり、「検品」の標準的な作業時間(「本来ならこの時間でできるはず」というあるべき数字)は
140分(8,400秒)÷500件=16.8秒/件
ということになる。
(4)(2)の「1処理あたりの作業時間」と、(3)の「標準的な作業時間」との差異が現状の作業のムダであり、改善余地があるということになる。
こうしたムダな動作を改善し、標準的な作業時間を目標に作業効率を上げるため、PDCAサイクルのを実行しながら作業を標準化していく。そして、作業量に応じて適正な人員を配置することを目標とする。
(5)時間当たり工数管理の基準を明確にするため、作業ごとに1日のリードタイム(開始・終了の予定時間)を明確に設定する。
(6)標準的な作業時間×作業量 で作業別に適正人時を算出する。この時、時間帯別の作業量も考慮する。たとえば、午前600件、午後2,000件の作業量がある場合、
午前:16.8秒/件×600件=168分(≒3人時)
午後:16.8秒/件×2,000件=560分(≒9人時)
となる。実際の投入人数が午前5人、午後8人だったとすると、午前は人員過剰でムダが生じ、午後は人手不足で残業が発生していることが見てとれる。

 

事前に作業量が分かる場合は、作業ごとの生産性をもとに必要人員を割り出すことができるが、物流センターの場合、事前に作業量が分からない場合も多い。その場合、過去の曜日別作業量実績等から必要人員を割り出し、「誰が」「何時から何時まで」「どの作業を」「どの程度行うか」を決めることであり、従業員に作業指示、仮説・検証を繰り返し、その実績を蓄積していく。